ここは野生と自然の王国、ポケモンサファリゾーン。
天まで届くような高さの草木が生い茂り、様々な野生のポケモンの鳴き声がこだましている。
そんなジャングル地帯の一片で、一組のピカチュウ親子が、仲良く家路を歩んでいた。
父ピカ「ピカピカッチュ!ピカチュチュー♪」
母ピカ「ぴかちゃ~!ぴかーちゅ♪」
息子ピカ「チュー!ピッカ♪ピッカァ~♪」
ピカ親子は三匹とも、両手にたくさんの木の実を抱えていた。
今日は特別に美味しい種類の実が採れたらしく、とても幸せそうな様子である。
『早くおうちに帰って、お腹いっぱいになるまで食べよう!』などと話しているのだろう。
しかし、その幸せに満ちたピカ家族に、悲劇が襲いかかる。
息子ピカ「ピカピッカァ~・・・♪・・・・・・
ッチュアアァァッ!?」父ピカ「ピカピッ!?ピカアァァーーー!?」
母ピカ「ぴかちゃあ!?ぴかっちゅーーー!?」
なんと、息子ピカが地面に伸びていた草木のツルに足を引っ掛けて転んだのだ。
その瞬間、ツルは生き物の触手のように、息子ピカの足に絡みつき、もの凄い勢いで息子ピカをジャングルの奥地へと連れさらって行ったのだ!
「ピカチューーーッ!!チャアァァァ~~~ッ!!」息子ピカの泣き声は、だんだんと遠ざかっていく。
親子ピカは血相を変え、木の実を放り出して猛ダッシュで息子ピカの跡を追った。
「ピカピカチューーーッ!!ピイィーーーカアァーーー!!」
「ぴーーーかちゅーーーっぴかちゃあぁーーーっ!!」あちこちに生えわたる草木をかわし、川を渡り、必死に息子を追いかけた。
そして、幸い、息子ピカのさらわれた場所へとたどり着くことができた。
親ピカは、その光景を見て、とてつもない絶望感に襲われた。
なんと、息子ピカをさらったのは、繁殖期を迎えた巨大ウツボットのツルだったのだ。
不気味で大きな草花が空を覆いつくし、ジャングルの中で最も薄暗く、ジメジメした秘境。
ウツボットはその地に、縦横無尽に無数のツルを張り巡らせ、捕獲した動物や小型ポケモンを吊るしていた。
ウツボットは眠っており、ツルは睡眠中でも自在に操ることができるらしい。余分な体力を消耗しないよう、眠りながら一匹ずつ口の中の溶解液で獲物を溶かし、養分を摂取していた。
口の中で骨まで溶かされていく動物達の絶叫は、ピカ親子の恐怖心と絶望感を肥大させた。
息子ピカは、ツルで口から下の全ての部位を拘束され、涙をぽろぽろとこぼす以外の動作が、なにひとつできなかった。
拘束しているツルから黄色い液体が滴りおちていく。息子ピカが恐怖によって小便を漏らしたのだろう。
「ぴ・・・ぴかちゃあぁ!ぴ~かあぁ~~~!!」
母ピカは愛する息子がウツボットの養分となってしまうことを嘆き、父ピカに抱きつき、泣き崩れた。
「ピ・・・ピカ・・・ピカチュ!!」
父ピカは母ピカを強く抱きしめ、息子ピカの方へと駆け出した。
ツルをかわし、木を上り、枝と枝を飛びわたり、愛する息子の救助へと向かう。
母ピカは震えながら、父ピカの愛と勇敢に満ちた行動を、木の陰から見守ることしかできなかった。
「ピッカ・・・!ピッカチュッ・・・チャアァッ!」
そしてとうとう、父ピカは息子ピカの側に生える木の枝までたどり着いた。
息子ピカは恐怖に満ちた目で、父ピカの方を見やった。
父ピカは枝にぶら下がり、尻尾に微量の電流のまとい、息子ピカを拘束する忌々しいとツルに、そうっとあてがった。
そしてそのまま尻尾を前後に動かし、ノコギリの要領でツルの切断を試みたのだ。
歯でツルを噛み切る、などといった単純な物理攻撃は間違ってでもしてはいけない。
ウツボットを眠りから起こしてしまう危険があるからだ。
そこで父ピカは、電気タイプの技が草タイプに効きにくい事を利用し、この手段を取ったのだ。
尻尾に流す電流は、ウツボットの目を覚まさせない程度の、微量なものに調節する。
その尻尾をノコギリのように前後に動かし、少しずつツルを切断していくのだ。
微量の電流は、草タイプのウツボットの神経までは届かない。かつ、切断箇所は電気で麻痺しているので、ツルを一気に切断したり、電流を誤って過剰に放出しない限りは、ウツボットは目を覚まさないだろう。
非常に冷静で適切な判断、行動を表した父ピカだったが、内心では非常に焦っていた。
時間内にツルを切断できなければ、子ピカはウツボットの溶解液で骨まで溶かされてしまう。
既にたくさんの動物達が溶かされ、ウツボット達の溶解液は、むせ返るほど濃厚で、甘い香りを発していた。
しかし、焦り過ぎて尻尾に流す電力や力加減を誤ってしまっては、ウツボットが目を覚まし、一家全滅の危機に追いやられる。
息子ピカは終始、父ピカを見つめていた。恐怖でガタガタと震えているものの、強固なツルにガッシリと拘束されているため、その震えが父ピカの救助作業を邪魔することにはならなかった。
辺りには、ウツボットの溶解液に溶かされる動物達の断末魔が響きわたっている。
そしてとうとう、息子ピカの前に拘束されていた森ネズミが、ウツボットの体内に運び込まれた。
「ヂュイィーッ!!」
森ネズミはそれ以上、叫ぶことはなかった。
小動物をドロドロに溶かすのに、そう時間は要さないらしい。
子ピカがウツボットの口内に運び込まれるまで、残り時間は1分もないだろう。
「ぴかぴぃ!ちゃあぁ…!!」
気の陰で見守る母ピカは震えながら『あなた…頑張って!!』とありったけの気もちを込めて呟いた。
父ピカの身体は冷や汗でまみれていた。歯を食いしばり、残り数ミリとなった忌々しいツルに、裁きのメスを入れる。
ブチン!!と音を立て、ツルは見事に切断された!
しかし、ツルは子ピカの身体に巻き付いたまま、数メートル下の地面に落下していく!
「ピカァーッ!」
父ピカは木を蹴り飛ばし、その反動で息子ピカの落下位置めがけて急降下した。
そして子ピカを空中でキャッチし、見事、無事に着地した!
「ぴかぴぃ!ぴかぁー!!」
母ピカが涙目で駆けつけ、一緒に子ピカに絡まったツルを解いていく。
ツルを解き終わり、子ピカは父ピカに抱きついて泣いた。
父ピカは『急いでここから離れよう!』と子ピカの頭を撫でながら言う。
「ぴっ…ぴかあぁー!」 母ピカの絶叫。なんと、ウツボットが目を覚ましてしまったようだ!
空を覆い尽くさんばかりの、たくさんのツルがウネウネとピカ親子の上空に漂っている。
「ピカピカー!」
「ちゃあぁー!」
「ピーカー!」 ピカ親子は一斉に走り出した。ウツボット達のツルはものすごい勢いで親子を追跡する!
「ピカピッ!ピカチャアー!!」 かつてないぐらい、全力でピカ親子は走った。しかし、どんなに逃げてもツルの追跡が止まる様子は無い…!
「
っちゅっ!?ぴきゃあぁーーー!!」
「ピッ!?ピカピー!!」 なんと!母ピカがツルに足を取られ、転倒してしまった!!父ピカは急いでUターンをし、母ピカに駆け寄る!
「ヂュッ!?ヂャアァーーー!!」 その瞬間だった。
ツルはまるで待ち構えていたかのように父ピカの両手足に巻き付き、それら全てをへし折ったのだ。
「ぴかぴぃ!!ぴかちゃあぁーーー!!」 『イヤあぁ!!あなたあぁ!!』と母ピカは絶叫する。そしてまた、母ピカも四肢をへし折られ、さらに断末魔のような絶叫を上げた。
子ピカはガタガタと震えて、泣き、ただ恐怖と絶望に屈する以外、どうすることも出来なかった。
そして向こうから巨大なウツボットがやって来た。ピカ親子を見下したような目で見つめ、親ピカをツルで締め付ける。
「チュアァァァァァ!!!」
「ぴいぃぃがあぁぁぁ!!」 子ピカの前で、何度もそれを繰り返してみせた。眠りと養分摂取の邪魔をした見せしめのつもりなのだろう。
そしてウツボットは子ピカにもツルを伸ばす。
「ピ…ピガピガヂュウッ!!
ピガァー!」 『頼む!息子だけは…息子だけは見逃してくれ・・・!!』
と泣いて懇願する父ピカ。母ピカは既に痛みで気を失っていた。
『そうだな…こんなチビネズミは、俺様の養分になんかなりゃしなさそうだ』と言わんばかりにウツボットは子ピカをたしなめる。
『・・・じゃ、せいぜい他の奴らのエサになりな』
ウツボットは子ピカをツルで締め付け、思い切り遠くへと放り投げた。
「チャ…チャアァ…ピカッ…チュ…」
父ピカは力ない声でそう泣き、全てに絶望した。
そして親ピカは、ウツボットの口内にゆっくりと運び込まれていく・・・。
「チュアァーッ!!」 子ピカが放り投げられた先は、サファリパークの川辺だった。
そしてちょうど、観光に来た人間達が船で川を行き渡っているのが見えた。
「ピカピ…!チャアァ…!!」
もし、あの船に乗っている人間達が強いポケもトレーナーだったら、パパとママを助けてくれるかもしれい…!!
子ピカは無我夢中で船の方へと這いずり出した。
そして船に乗っている一人の観光客らしき男が、子ピカの存在に気づき、船から数人の男が降りてきた。
「おいおい、こりゃあ…」
「野生のピカチュウか」
「イイもん見っけたな」
男達はピカチュウを見てニタニタと笑いながらそう話している。
「ピカピィ…!チャ…アァ…!ピ…カァ…!」
ピカチュウは必死に男達に『僕のパパとママを助けて…!!』と訴える。
「なんか言ってんぞ」
「ハッ、日本語でおkー」
ピカチュウの訴えはそう一蹴され、首をヒョイと掴まれ、船内に運び込まれた。
男達は何やら、和気あいあいと談笑をし始めた。
人間の言葉がわからないピカチュウは、自分の訴えが通じ、どうやってウツボットの魔の手から親ピカを助けようか、と相談し合っているのだと信じていた。
「そういやよ、さっき飛ばしておいた『飛行型録画装置』の映像、観てみようぜ」
「おっ、そうだな」
「・・・うっわ!観てみろよこれ!すげぇの撮れてっから!」
「……うおぉ、これはイイネ!」
「あのチビにこれを観せてやろうぜ」
男達は不気味な笑みを浮かべながら、小型のモニターを子ピカに差し出した。
「ピカピ…?ちゃあ?」
『どうしたの…?パパとママを助けに行ってくれるの…?』
子ピカがそう尋ねたた瞬間、モニターに恐ろしい映像が流れていることに気づいた。
「ヂュウウウゥゥゥゥゥゥーーーーーッ!!!
ビイイィィガヂュウウウゥゥゥゥッ!!!」
「びがああぁぢゃああぁぁぁぁ!!!ぴっがああぁぁ!!
ぢゃああぁぁぁぁぁぁ!!!」なんと、親ピカの二匹がウツボットの体内で捕食されている映像だった。
息子ピカはとてつもない絶叫を上げる!
親ピカは四肢を折られているので、抵抗できず、恐怖と激痛によって歪んだ顔をめちゃくちゃに振り、溶解液の中で浮き沈みを繰り返している。
既に下半身は溶解の一途を辿っているのだろうか、液の表面にポコポコと気泡が浮かび上がっている。
息子ピカは画面の向こう側で皮膚を溶かされている二匹に向かって、声にならない叫び声を上げていた。
男達から手渡されたモニターをバンバンと叩き、男達に向かって『お願いでチュ!!パパとママを助けてくだチャアァァ!!』と泣き喚いている。
男達は、息子ピカが懇願する姿を見て抱腹絶倒しだした。
「ギャーハハハハ!クゾネズミの絶望に満ちた泣き声はイイネェーーー!!!」
「助かるわけねぇだろバァーーーカ!!」
「よし、コイツもヤッちゃおうぜ!さっき捕まえたウツボットでよォ!
いけっ!ウツボット!」
男が放ったモンボから、ウツボットが現れた!
ウツボ「ウジュルルルルルルッ・・・ウジュウウゥゥゥゥゥゥゥゥーーーッ!!!」
「ピイィィィ!!!ッチュアアァァァァーーー!!!」そのウツボットは普通のサイズのものだったが、息子ピカを丸呑みするのには十分な大きさだった。
息子ピカは恐怖でまた絶叫し、二度目の失禁をした。
「ウジャアアアァァァァァァッ!!」
「ピイィィッ!!チュピアアァァッ!!!」
ツルを伸ばし、息子ピカを捕獲しようとするウツボット。息子ピカはそのツルを避けるので精一杯だ。
そしてとうとう、船内の角へと追いやられてしまう。
「ウジュウウゥゥゥゥルルルルルルルルッ・・・!!ウジュウウゥゥゥゥ!!!」
「チャ・・・チャアァァ!!
ピカチャアァァ!!ピカピカチューーーッ!!」土下座して命乞いをする息子ピカ。
「容赦すんなウツボット!!溶解液だ!!」
男の指示に従い、溶解液を吐き出すウツボット。
息子ピカの顔面に溶解液がヒットする。
「ヂュアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」一瞬にして息子ピカの皮膚がケロイド状にただれ、目には黒い穴が空き、グロテスクな生き物と化した。
顔面を押さえる手までもただれていき、のた打ち回って苦しむ姿は、男達にとって最高のパフォーマンスに見えた。
「ウジュウゥゥゥゥゥルルルルルルルルッ!!」
ツルで息子ピカを捕獲し、口の中へと運ぶウツボット。
「ヂュアアアァァァピイイィィィィィィィィッ!!!チャアアアァァァァァーーーッ!!!」息子ピカは口内から逃れようと必死になって手足をバタつかせる。
しかし、もがけばもがくほど息子ピカの全身が焼きただれていく。
「おっ、画面の向こう側の二匹も逝ったみたいだぞ!」
飛行型録画装置に映された二匹の親ピカは既に皮膚が溶け、内臓や脳が溶解液の中に浮いて溶けかけていた。
ウツボットの口の上にその画面をかざし、溶解していく息子ピカにもその様子を見せる男達。
「ヂャアッ・・・アァァァ・・・!!bガッ・・・ヂュッ・・・pガ・・・tャアァ・・・ァ・・・!!!」
息子ピカも既に死にかかっていた。黒い穴が空いた目から零れる涙が溶解液と反応し、ジュッと音をたてる。
その最中、息子ピカは愛する親との幸せな日々を思い、絶望と恐怖と激痛に抱かれてウツボットの養分となったのだった。
おわり【あとがき】今回もリク作デーーース。
リクコメはこちら↓
ピカチュウ親子が、ウツボットの口の中で溶かされるシチュエーションが読みたいです!
ツイッターでも呟いたのですが、この作品を書いている途中にブラウザがフリーズして丸一時間かけて書いた内容が丸々消えるという事案が発生いたしました。満を持して書き直すことができたのですが、本当にあの時のショックったら無かったですね。トルネコやシレンで大事に強化した武器を不意打ちでオシャカにされるような屈辱を味わいました。つーかFC2のブログって、どうして自動保存機能が新規投稿時しか適用されないんでしょうかね。ライブドアブログを見習って欲しいモンです。
フォロワーの皆様、あの時は取り乱してしまってゴメンゴ☆メンゴ
- 2013/04/19(金) 00:35:46|
- ピカ虐(短編)
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