目を覚ますと、私はただっ広い草原に居た。空気は澄み渡り、近くの川のせせらぎが心地良いリズムで耳へと浸透してくる。
しかし、自分が何者なのか、なぜ此処に居るのかが思い出せない。生きているのか、はたまた死を経験し、死後の世界に行き着いたのかさえ解らない。
辺りを見回すと、2人の少年がキャッチボールをしているのが目に入った。少しばかりの駆け足で少年たちのもとへ向かう。少年たちは私に気が付かず、キャッチボールを続けている。ボールは大きな弧を描いたり、一直線に空を切ったりしていた。
数メートルほど近づいた時、2人の少年に違和感を覚えた。正確には少年たちにではなく、ボールにだ。そのボールは通常、キャッチボールで使われるような白球ではなかった。形は2本の突起が目立つ球体で黄色と黒、赤丸の模様が描かれたボールだった。
「きみたち…」
私が話しかけると、少年たちは手を止めて私の方を向いた。
「何を、しているんだい?」
「きゃっちぴかぼーる、だよー」
「?キャッチボールではないのかい?」
「ボールじゃないよう。ぴかちゅうの頭できゃっちボールするんだよお」
片方の少年がそう言いながら、地面にポツリと置かれている物体を指さした。
おそらく、少年たちの持っているぴかぼーるの胴体だろう。車に轢かれた猫の死体のようにクタリと横たわり、尾と思われるイナズマ型の部位はシールのようにベラリと背中に引っ付いていた。
「この動物は…ぴかちゅう、と言うのかね?」
「そぉだょぉー」
「あの森の中にいっぱい居るから、おぢさん、とってきてよ!僕達、新しいぴかぼーる欲しい!」
少年は向こう側の森を指さして言った。
私はぴかちゅうという生き物に非常に強い関心を持ってしまったようだ。
返事もせずに黙々と森へ足を運んだ。
森の中は木々のカーテンで日が差し込まず、薄暗かった。新鮮な酸素が私の身体中の老廃物と入れ替わりながら体内へと侵入していく。
辺りをキョロキョロとしていると、ぴかちゅうはいとも簡単に見つかった。
2匹のぴかちゅうがほほを擦り寄せたり、抱き合ったりしてじゃれ合っている。
「ぴかぴかぁー♪ちゃあー♪」
「ピッカピチュ!ピカッチュ♪」
オスとメスであることは感覚でわかった。メスはしきりにオスに甘え、幸せそうな表情を浮かべている。
私は空気を読まず、二匹の目の前に足を踏み入れた。
「ぴかっ!ちやあぁー!?」
「ピガヂュッ!?ピッガー!!!」
メスは怯えてオスの陰に隠れ、ガタガタと震えだした。
オスは私に向かって敵意を剥き出しにし、先ほどの鳴き声とは一変してグルルと唸っている。
私はというと、特に恐怖を感じることはなかったので、ズンズンと2匹に向かって近づいた。
「ピガッヂヤァァァー!!」
オスが飛びかかってきた。避けようと思えば避けられたのだが、敢えて正面からオスの身体を受け止めた。
「ビッガ!?ヂュ…ヂュウゥゥゥーーー!!」
オスは私が懐で身体を受け止めたことに驚きつつも、拳を握りしめて頬から電撃を放った。
しかし、私の身体はそれをアースのように地中に受け流し、全く何も感じることがなかった。
オスは何度も電撃を放ったが、私がケロリとし続けると、次第にゼェゼェと息を切らしてバテた。
私はオスの両耳を片方ずつの手で掴んだ。
「ピカッチャアァ!ピカピーカァー!!」
ジタバタと両手足を動かして無駄に抵抗する。
私は両手を小刻みにグルグルと回した。
オスの両耳を軸にして頭から胴体までが、私の目の前で勢い良く回転する。
「ピガヂュアァァァーー!!ピッガピギィィィ!!」
オスは遠心力による重力感と、耳の根本に加わる激痛みによって絶叫する。
「ぴかぴいぃ!!ぴっかぁぁ!!」
メスが私の足元に駆け寄り、引っ掻き始めた。私は物理的な痛みも感じることはなかった。
そのまま足を上げ、メスの頭を踏み潰す。
「ちゅぴがぁ!」
メスは地べたに顔面を合わせ、私が頭をグリグリと圧迫すると
「ぢゅぎゅぅぅ!びぃがぁぁ!」とうめき声を上げた。
その時、オスの両耳が千切れ、オスの身体も地べたに衝突した。
「ヂュギャァァァ!!」
オスは耳を無くした場所から血を噴出させている。片手を頭に伸ばし、もう片方の手をメスに向けて
「ピガピカァァ!ピッカピィィ!」と泣きながら叫ぶ。
俺はメスの頭を先程よりも強く踏み潰す。
「びぢゅっ!!」という声とリンゴを金属バットで思い切り叩き割ったような音が響いた。私の足元はメスの脳ミソと体液で汚れた。
「ピガピイィィー!!ピーガー!!」
オスは絶望の表情を浮べて泣き叫ぶ。
そして私の顔を向き、わけのわからない叫び声を上げ続ける。
私はオスの両手を掴み、先ほどのように小刻みにグルグルと回した。
「ヂュギャラララララァァッ!!」
オスの体身体から飛び散る鮮血が私の全身を濡らす。両手がちぎれた時、既にオスは意識を失っていた。
「ぴっ…ぴか…!、ぴかぴぃぃ…!」
鳴き声のする方を見ると、また別なピカチュウが怯えた様子でガタガタと震えていた。一部始終を見ていたのだろう。
私が近づくとそのぴかちゅうは
「ぴっきゃぁぁぁー!!」と叫びながら勢い良く穴を掘り、地中に身を隠した。
しかし、イナズマ型の尾が地面から草木のようにヒョコリと露呈していた。
私はライターでも無いものかとポケットを、漁ると、都合よくライターが入っていた。
私は尾の先端を炙ってみた。すると地中から「ぢゃあぁーー!ぴがぢゃあぁ!!」という絶叫が聞こえた。尾も激しく揺れている。
尾を手で掴み、根本を炙る。またも聞こえる絶叫。
今度はノコギリでも無いものかとポケットを漁ると、やはりノコギリがヌゥ、とポケットから出てきた。
それを使って尾の根本を切断すると
「ぢゅうぅあぁぁぁーー!!」という鳴き声が聞こえ、地中から鮮血の噴水が吹き出した。
私はポケットからダイナマイトを取り出し、その場所を爆破させた。恐る恐る近づいてみると、地中にはボロボロに焦げたの玉子焼きのような物体が少しばかり残っていた。
私はふぅ、と溜息をつくと、少年たちにぴかちゅうを献上するという目的を思い出した。
背後を向くと、ぴかちゅうの集団が涙を流しながら怒りの表情で私を睨みつけていた。
「ピカピカァァー!!」
「ピガッチャアァー!!」
「ちゅぴっかぁー!ぴっかちゃぁぁ!」
「ピガー!!ピーガー!!」
どうやら同族を殺された報復に来たらしい。私はコイツらの弱みでも握られればなぁ、と考えながらポケットを漁ると、何やら丸くて固い物体を発見した。
「なんだコレは…?」
その物体は大きな卵だった。
「ピッ…ピカァァー!?」
「ちゅあぁっ!?ちゅぴぁっきゃぁー!?」
「ぴかぴぃーかぁー!!ちゃあぁー!」
「ぴ…ぴぃーかぁぁー!!」
その卵を見るやいなや、ぴかちゅう達は一瞬にして青ざめ、私に向かって「卵を返してくれ」と懇願してきた。
「この卵が欲しいのか?」
「ちゃあー!ぴかっちゃあぁ!」
「ピカピィ!チュウゥー!」
「ぴかぴかぴかーあ!ちゃぴかぁー!」
「ピカチャァァー!チャピイィー!」
ぴかちゅう達は卵を返してくれるのか!?と一瞬、期待した顔になった。
すかさず、両手で卵を潰す。
ドロドロとしたぴかちゅうの胎児が両手からズルリと堕ちた。
「ぢゅうぁぁぁーーーっ!!!」
「ぴがー!!ぴがぴぃー!!」
「チューーーー!チュアァァーーー!」
「ぴ…!ピイィガッヂュウゥーッ!」
ぴかちゅう達はまたも青ざめながら泣き叫んだ。非常に哀しい泣き声が森中に響き渡る。
私は哀しみに打ちひしがれたぴかちゅう達の身体を手でちぎり、地面に叩きつけたりポケットから取り出した銃で撃ちまくった。
「ヂュアァァァァ…!」
「ぴがっぢゃぁぁ…!」
「チュキャァァァ…!」
「ビガッヂャアァ…!」
ぴかちゅう達の断末魔のコンサートを楽しみながら、最後に残った1匹の耳を掴んで森から出た。ソイツは既に生きる気力を無くしており、虚ろな瞳でダラリとしていた。
森から出た私は少年たちを探した。しかし、少年たちの姿が見当たらない。
私はポケットから再び卵を取り出し、虚ろなぴかちゅうに差し出した。
「ぴかぴ……!?ピカチャァァー!!」
虚ろなぴかちゅうは一瞬にして目を輝かせ、卵を抱きしめて泣いて喜んだ。何度も何度も卵に頬ずりを繰り返し、しきりに喜びの声を上げている。
その卵に向かって俺はポケットから取り出した大岩を落とした。ぴかちゅうの抱きしめていた卵は潰れ、大岩と入れ替わった。
「ぴ…ぴかぴ…?」
一瞬の出来事にぴかちゅうはクエスチョンマークを脳内に浮かべたのだろう。そして状況を把握した瞬間、
「ぴぃぃかぁぁぁぁーーー!!ぢゅぅぅぅーーー!!」と再び泣き叫んだ。
私は足で頭を踏みつけながら両耳を思い切り引っ張った。耳がちぎれ、頭が潰れた。
すると頭の中で突然、チャイムとアナウンスが流れた。
『お疲れ様でーす!お試しコースはここで終了とさせていただきまーす!』
視界が一変し、私が入っていたポッドの扉が開く。
若い係員の女性が扉の外から朗らかな声で私に話しかける。
「お疲れ様です!以上で、とてもお気軽かつ、理想の空間で味わえる脅威の愉悦、『バーチャル虐待クラブ』のお試しコースは終了となります!楽しんでいただけましたか?」
「は…はぁ。まぁ…」
私は寝ぼけたまま曖昧な返事をする。
「今回はお客様のご希望のシチュエーション、『現実離れした癒しの空間での虐待、虐殺』をデータ化して脳内に送り込ませていただきました!夢や仮想世界とは思えないようなリアルな感覚だったでしょう!?」
「は…はい…」
「課金メンバー様になられますと、さらに細かく、時間無制限のシチュエーションをお楽しみいただけますので、是非ともご検討お願い致します!では、ご利用ありがとうございました!」
おわり
【あとがき】
さっき風呂に入っていたら思いついた突発ものです。全部アドリブで一気に書ききりました。こういうのは鮮度が命で、一気に書ききって一気に公開しないと気が済まないのです。
その為、文脈等がおかしいところが多々ありますがご了承ください。
それにしてもスマホからは投稿しづらいでチュウ!
- 2012/09/23(日) 02:31:01|
- ピカ虐(短編)
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> モップでチュウも良かったのですが、こっちも良いですね~> リアルがお忙しいとの事なので、無理なさらないで下さいね!> こんなバーチャルな世界に行ってみたいです(笑)
ピカ虐:あき様!お久しぶりです!お気遣いありがとうございます!ブラックな職種はキツいです(笑)
こんな施設があったらなぁ、と思いながら書きました!共感していただけて嬉しいです。
涼しくなってきたので、あき様も体調に気をつけてお過ごしくださいね。
- 2012/09/23(日) 19:29:44 |
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> 普通に虐待するのもいいですが、> 繁殖チュウのようなNTRの展開が読みたいです^^
NTRの意味、初めて知りました。そんなジャンルがあったとは。
それでしたら、更新予定の「ピカチュウ性欲処理チュウ!」がそんな感じの展開なのでお楽しみに!幼女ピチューが父親ピカチュウの目の前でブサイクピカチュウに犯されまくります!そしてその母親ピカチュウも…!?
それにしても繁殖チュウ!は本当に人気なようで驚きました。
- 2012/09/26(水) 02:00:11 |
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