【超短編】ピカチュウに悪戯チュウ!

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俺はポケモンに悪戯をするのが大好きだ。悪戯をして苦悶の表情を浮かべるポケモンを見ると異常に興奮しちまう。

今日もポケモンに悪戯をするためにトキワの森へやってきた。


森の中でポケモンを探していると、大きな古木に穴が空いていた。中を覗くと…いた。メスのピカチュウが自分が産んだであろう卵を抱えて眠っていやがる。

「ちゅすうぅ……ぴかちゅすぅぅ……Zzz」

とても幸せそうな顔で眠っている。子供が産まれるのが楽しみなのだろう。
俺はコイツを古木の中に閉じ込めてやろうと思い、付近にあった手頃な岩を見つけ、それを古木の穴に突っ込んだ。

「ふんっ!」

大成功だ。岩はピカチュウの寝床の入り口にジャストフィットした。それと同時に、中でピカチュウが驚きの声を上げて目を覚ましたようだ。

「ちゅっ!?ぴかぁっ!?ぴかぴかぁ!?」

突然、暗闇に包まれてパニックを起こしたのか、穴の中でドンドンと壁を叩く音が聞こえる。

「ぴぃーかぁー!!ぴかぴぃかぁー!!」

恐怖に満ちた鳴き声。俺は笑いをこらえるのに必死だった。さらに悪戯をエスカレートしてみる。この状態で古木を燃やしたらどうなるのだろう?

俺は古木にガソリンをかけ、チャッカマンで火をつけた。するとどうだろう、乾燥していた古木はみるみるうちに炎に包まれていった。パチパチと燃え盛る炎の勢いと、ピカチュウの悲鳴の大きさは比例していった。

「っちゃあぁ!?ぴがぁぁぁっ!?!?
ちゅーーーーーっ!!!ぴいぃかちゅうぅーーーーーっ!!!!!」

古木の中でとてつもない絶叫を上げるピカチュウ。
どんな風に苦しみ、のた打ち回っているのだろうか。はたまた、恐怖で固まり、大事な卵を抱えて泣き叫ぶことしかできないでいるのか…中を覗けないのが残念だ。

1、2分経過したところで、古木はピカチュウの寝床の部分を軸にして崩れ落ちた。中からは卵を抱えたピカチュウが姿を見せた。全身に酷い火傷を負い、電気タイプなのに「虫の息」だ。笑

「ちゃ………ちゅ………ぴ……ぃ………」

目から液体を流すピカチュウ。もう自分は助からないと感じたのだろう。卵に向かってブツブツ呟いている。

すると俺の背後で何かの気配がした。振り向くと、オスのピカチュウとピチューがいた。足元に木の実が転がっている。ちょうど餌探しから帰ってきたのだろう。2匹とも、絶望を溶接されたような表情でガタガタ震えてる。

「ピ…ピカ…!?ピカチュ………!!」

「ぴちゅぴぃぃ…!!ぴーちゅーーー!!」

2匹は瀕死のメスピカに駆け寄り、大声で泣き喚いた。
メスピカはもう声を発することができなくなり、ガクリと全身の力が抜けたようになり、その手から卵が崩れ落ちた。

卵がポトリと地面に落ち、割れた。中からはゾンビの皮膚と卵黄を程よくかき混ぜ、高温で熱したような物体が出てきた。産まれてくるはずだったピチューの成れの果てだ。それを見てオスピカと(生きてる方の)ピチューは凄まじく発狂した。

「チュウゥゥゥアァァァァァーーーッ!!!!」

「びぃぃぃぃっぢゅぅぅぅぅーーーっ!!!!」

俺は「なんだか申し訳ないことをしたなぁ」と感じたので(死んだ方の)ピチューとメスピカを火葬してやることにした。

死体の半径2メートルくらいの円状にガソリンを撒き、点火した。キャンプファイヤーのように火柱があがった。

1つミスを上げるとしたら、その円の中に(生きてる方の)ピチューとオスピカを置き去りにしてしまったことだ。せっかく俺とそいつらで2匹の弔いの炎を眺めて感傷に浸ろうと思ったのに、これでは生きてる方の2匹も死んでしまうではないか。

そらみろ!火柱の中から2匹の絶叫が聞こえてきちまった。先ほど、古木の中から篭った声で聞こえてきたものとは違い、鮮明な絶叫が俺の鼓膜を激しく揺さぶっているぞ。

「チュアアァァァッチューーーーー!!!
アーーーチューーー!!!」

「ぴぃぃぃちゅぅぅぅ!!!
ちゅびぃぃぃぃ!!!!」

2匹は抱き合いながら泣き叫び続け、その身を炎に包まれていった。喉をヤられたのか、悲鳴は段々とかすれ声に変わり、最期の瞬間は仲良し4匹家族で炭になった。

俺はこれ以上、火事で尊い命が失われないようにとオシッコを死体にブッかけて消火活動に勤しんだ。

悪戯も排尿も済んだ。俺は晴れ渡る青空のようにスッキリした気分で帰宅したのだった。


おわり
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